世界はあなたが作っている

ある禅僧のうたに
『世の中で何が苦しと人問わば、
御法(みのり)を知らぬ人とぞ答えよ。』
と言うのがあります。

御法(みのり)とは大事なことで
それに光を当てて明らかにする事を言います。

世の中で何が苦しいかといえば、
それは大事なことを明らかにしないで
ぼんやりと生きることだ、ということですね。

この世に命を与えられて生まれてきた我々は、
与えられた命を最高に生かし、
精一杯生きて行かなければなりません。

私たちにとって大切な事は
『生きるとは何か』『人生とは何か』
『私とはだれか』『何のために生きるのか』と言う、
人間が向き合わなければならない
人生の大テーマではないでしょうか。

大哲学者のソクラテスは、
『汝自身を知れ』と言いました。

自分自身を明らかにすることは古来、
キリストや釈迦や孔子も
求めた世界ではないでしょうか。

人間は字のごとく、人の間を生きています。
幸福に生きるためには、周りとの
『いい間合い』を生きていかなければならず、
自分自身を知ることは大切なことなのです。

『幸福は人生の意味及び目標、
人間存在の究極の目的であり狙いである。』
とアリストテレスも言っている様に
いかに幸福な人生を送るかということが、
人間の究極の課題だと思われます。

相田みつおさんの書に
『幸せはみんな自分の心が決める』
と言うのがありますが
どうやら私たちの心の在り方で
幸せ不幸せは決まるようです。

世の中はたった一つの出来事の影だと言われます。
有る物は一つなのですが、
それを捉える人の心が違うため、
それぞれの認識、
それぞれの解釈が生まれるのだそうです。

人の心については、古来いろんな学問や宗教が
向き合って来ましたが、その一つに唯識があります。

唯識によると人間には6つの意識があり、
それが『眼・耳・鼻・舌・身・意』です。
まず視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の
5感を使い物事を認識します。
心はこれに意識を合わせた
6識と考えられましたが、
心の奥にはとらえられない部分
『無明』の存在がありました。

そこで考えられたのが、
自分にこだわる心の深い部分『マナ識』と
命にこだわる心の深い部分『アーラヤ識』の存在です。

唯識は仏教の深層心理学ともいわれますが、
現在の私たちの認識にもつながります。

我々の心にはまず顕在意識と
潜在意識があるといわれますが、
顕在意識が6識の部分で
顕在意識の奥には潜在意識があり、
これがマナ識とアーラヤ識と
言えるのではないでしょうか。

顕在意識と潜在意識の割合は
1対9とも1対99ともいわれ、
圧倒的に大きな力を持っているのは
潜在意識だと言われます。

しかしそのもっと奥には生成発展を求める、
宇宙の働きと同じもの『宇宙意識』『実相』
『真我』があるといわれています。

呼び名はそれぞれですが、
サムシンググレート、良心と言う言葉も、
これにあたるのかもしれません。

経営の神様といわれる稲盛和夫さんも
心の多重構造ということを言われていますが、
心の奥には魂があり、
その奥には『真我』があると言っておられます。
さて、少し話は変わりますが、
実は人の心があるから世界があるのです。

目に見えるものはある様に見えます。
有る事を意識する人間、私がいないと
それらの物は実はあるともないとも
言えないのです。

私達は自分の心が無くても、
地球はあっただろうと思っているし、
死んだ後もあるだろうと思っていますが、
それは私が『~と思う』事であって、
私が意識しなければあっても無くても
関係がない事なのです。

そういう意味では、心、私の心が認識して初めて、
私がいるとかいないとか、関係があるとかないとか、
意味があるとかないとかという事も、
意識する事によって意味が出てくるわけです。

だから外界の世界あるいは他人はすべて、
私がそれをあるとかないとか思う事によって
初めて成り立つものです。
だからすべては心がとらえたものと言えるわけです。

識と言うのは心をさして、
全世界はただ心だけと言うのが、
唯識と言う言葉なのです。

あなたが見ている世界は、
あなたの心のスクリーンに映ったものです。
何を映し出すかはフィルムによりますが
それは認識の仕方、心のあり方によって
決まって行くのではないでしょうか。

世の中は、縁起の理法によって
成り立っているといわれます。
その事を空ともいいますが、
世の中のものはどれをとっても
それ一つで存在するものはないということです。

私自身も地球という台地があり、
水があり、食物があり、空気があり、太陽の光があり、
両親がいて、そのまた両親がいて・・・という関係性の中で、
今の一瞬存在していると認識しているものなのです。

大自然にしても、山や川にしても、
宇宙が生まれ生成発展してきた中で、
今その形に見えるもので、
永遠ではなく、無常なのです。

宇宙が生まれ、物質が生まれ、
生成発展をしてきました。

古代宇宙には水素原子しかなかったのですが、
核融合によりいろんな元素が生まれ
さまざまな物質ができて、発展してきました。

地球も、私の体も、そうやって作られた
星のかけらでできているともいえます。

また私たちは世の中を、
私と私以外の世界という風に見がちですが、
実は宇宙は私をも含んだものなのです。

私は宇宙の一部であって、だから宇宙がそうであるように、
より高度なものを求め生成発展していこうと
言うものがあるのです。

『宇宙意識』『実相』『真我』『サムシンググレート』
いろんな呼び方はありますが、
稲盛さんに倣って『真我』という言葉を使いたいと思います。

私たちは自分の中にある『真我』の存在に気づくと、
体の中からエネルギーが湧き上がってきます。

気づくというのは、もともとあるわけです。
もともとあるから気づけばいいだけなのです。
ところが頭で理解するのと体験するのは違います。

例えになりますが、『真我』は普段は
人に見せるために作った殻に覆われて見えません。

その殻を破って本当の自分を垣間見たとき、
自分のすばらしさに気づきます。
その時にエネルギーが湧きあがってくるのです。

世界はあなたの心の中にあります。
過去を受け取り直し、
その意味づけを変えていく事は可能です。
「こうだったからこうなった」と受け取るのか
「こうだったからこそこうなれた」と受け取るのか、
幸せはみんな自分の心が決めます。

本当の自分『真我』を垣間見たときに、
自分のすばらしさに気づき、
感謝の気持ちが湧きあがってきます。
止めどもなく涙があふれ素直になれます。

『感謝は幸せの呼び水、素直は成長の親』と言われますが、
素直になって、感謝の気持ちで周りとの関係性を結び、
縁を整え、そこから新たな人生を
作っていく事が出来るのではないでしょうか。